◆感想種類 | ◆感想内容 |
総合評価 | 仏蘭西少女 ~Une fille blanche~ 2009年7月10日発売(ブランドCODEPINK) エンド数48、シーン回想114個、CG282枚 100点評価で75点…原画のレベルの高さは文句なし。シナリオは癖がある。 |
ゲーム デザインに ついて 1 |
いったいこのゲームは何を目指して作られたのか… と言いたくなる攻略難易度です。今時のエロゲでまず48個のマルチエンドと聞いただけで回避するユーザーはそれなりにいるはずです。 メーカーがかなり批判されることを解ってこのゲームデザインにしたことは明白です。販売後の公式日記を読んでみても、そのようなことが覗えます。 2010年1月時点で完全攻略(回想シーン含む)がどのサイトにも無かったので、攻略記事作成を目的にこのゲームを始めたのですが、何度も「やってられっかー!」とコンプリートを投げ出しそうになりました。普通にゲームを楽しみたいだけのユーザーに取っては、まさに拷問かと思えるようなゲームデザインです。 このゲームには48個の個別エンドがあるわけですが、ゲームバージョンを1.2に上げると公式ヒントがゲーム内で参照できるようになります。しかし、多くの人が愕然とするでしょうが、公式ヒントの選択肢通りに48個のエンディングを見ても回想シーンが全て埋まりません。その数は114個あるうちの実に26個。この後、どうしたらいいんだと途方にくれること間違いなしです。 苦労して作成した当サイト攻略を参照してもらえるとわかるのですが、計74ルートを見ればCG差分を除く一応のゲームコンプリートはできます。効率的に進めれば70ルート前後で可能でしょう。しかし、70ルートですよ。今時同じエロゲを70回連続してプレイする人がどれだけいるでしょうか。しかも、共通ルートもある程度あるゲームで…。私は大体200回ほどエンディングを見ましたが、その時点でようやくコンプリートできました。 さて私が勝手に想像するに、製作者の人は「自分が満足できるエンドを見れればそこで終わってもらっていい」とか「膨大な選択肢の中で、正しい選択肢を見つけるのは困難なのだ」とか、色々な理由を考えてこのゲームの設計を行っているのでしょう。ですが、この仏蘭西少女に置いてはユーザーが苦しむばかりであまり成功しているとは思えません。少なくともプレイヤーを楽しませるという観点には立っていません。 問題点をあげます。このゲームには5つのパラメータが設定されています。 「少女好感度、香純好感度、舞子関心度、残酷度、欲情度」 この5つのパラメータの細かい上下によってルートが6つに大別され、エンディングが決定されるのですが、この情報はプレイヤーに提示されません。また選択肢によって起きる数値の上下を予想するのは無理です。選択肢の一例を挙げますと 「待て、と怒鳴る (欲情度小アップ) 何も言わなかった(変化なし) 舞子に詰め寄る (欲情度小アップ) 訊きたいことがある、と冷静に言う (変化なし)」 こんな感じの選択肢なのですが、残酷度・欲情度がゲームのルートをかなり影響するにも関わらず、数値の変化を文章の流れで予想していくことができません。ということはどうなるかと言うと 普通に始める→バッドエンド→やり直し→バッドエンド→バッドエンド 仕方ないから公式ヒント→エンドの名前だけでエンド内容が解らない→バッドエンド ようやくハッピーエンドが見れた→別のキャラも見たい→バッドエンド→バッドエンド バッドエンドの数が多い上にハッピーエンドの条件はかなり厳しいので大半のプレイヤーはバッドエンド地獄になるでしょう。エンドの数を減らせばこのことは防げたと思いますが、そこは製作者がこだわって作りたかったところでしょうから、言っても仕方がありません。ではどうすべきだったのかを後半に書きます。 |
ゲーム デザインに ついて 2 |
さてこのゲームはどのようにすればよかったのかについて。 一言で言えば、ゲーム中にフローチャート形式の画像を呼び出して現在地も含めてルート確認ができるようにすればよかったはずです。ユーザーの不満は大半が解消でき、かつ大量のエンドも分岐も実装できました。チュンソフトのアドベンチャーゲームでよく見られるシステムです。 プレイヤーは目的がなく意味がわからずプレイすることに苦痛を覚えます。しかし、道筋がわかっていれば結構納得してプレイできます。「香純のバッドエンドを見たら、香純のハッピーエンドまでのルート表示をフローチャート形式で提示、しかし、途中のルートは一部見れないところもある」とかにすれば、ルートの難易度調整も自由に可能です。簡単だと思うのですが、何故やらなかったんでしょうかね。 多数エンドは最近のエロゲにはあまり見られませんが、上手く活かせば物語の奥行きを広げることができます。だから私は全く否定しませんが、いかんせん旧来型の選択肢の羅列で作られても困るなあと思いました。 |
シナリオに ついて |
シナリオに関してはあれですね。色々な方が書かれていますが、ライターの丸谷秀人さんは文学を書きたかったんだなあということが伝わってきます。良くも悪くも一般的なエロゲの文章とはかなり違うので、間違いなく好き嫌いはあるでしょう。 なので体験版をやらないで買うのは間違いなくお勧めしません。あとルート分岐にはかなり気を使って文章を書かれています。なにせ100回以上やっても、パラメータの数値が少し違うと未読の文章が良く出てきましたから。その辺はほんとこだわって作っていると感じました。何というか文章を書くのが本当に好きなのは大変判ります。でないとこんな共通部分の文章を細かく変えないでしょう。 さてシナリオの内容ですが、香純が明らかにヒロインです。 というか舞子は攻略できませんし、少女のオルタンシアは基本的に自我が薄いですしね。主人公の子爵が大変なクズ人間なのですが、舞子は子爵を利用することにより自分の感情の落とし所をはかっているだけで、主人公は単なる物語上の狂言回し。主人公とプレイヤーの一体感を求めるユーザーにはいまいち受け入れがたいところかもしれません。 |
グラフィック &Hシーン |
原画はTonyさん。人気絵師だけあって大変ハイレベル。塗りも上手い。シーン回想も100を超えて大量にあり、CG枚数は282枚で差分も多数。エロシーンは3人の絡みがもうちょっとあってもよかったとは思うがそこは単なる好みの差。基本的に凌辱多め。 音声は演技指示しているんでしょうが少女がもうちょっと大人びた声の演技の方がよかったような気がします。私の場合、最初から夏日エンドくらいの成長した声の設定が好きですね。まあこの辺も好みの差でしょう。 |